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最小公倍数は小学5年生で学ぶ内容。
ただ、5年生で学ぶ場合、公倍数の求め方は、それぞれの倍数を書き出して共通する部分を探すやり方だ。
例えば、
4 の倍数 4 8 12 16 20 24 28 32 36
6 の倍数 6 12 18 24 30 36
9 の倍数 9 18 27 36
といった感じだ。
その後の勉強で、分数のたし算・引き算を学ぶ際、最小公倍数を使って通分をすることになる。
教科書に載っている分数の計算の分母は、簡単に最小公倍数を出せる程度のものだけにおさえられている。
その程度が出せれば良い、という考え方なのだろう。
しかし、市販教材には、簡単に最小公倍数が出せないような分数の計算が出てきて、途端に計算が複雑になりイヤになってしまう。
そもそも、最小公倍数の出し方を中学で学ぶまでの間は、簡単に通分できる分数の計算しかさせないというお約束はちゃんとあるのだろうか…。
問題をやらせてみると、「ふぅっ…」というため息が頻繁に聞こえてくる。
無理もない、小学校で習う最小公倍数の出し方では簡単には歯が立たないんだから。
例えば、
$$\frac{1}{24}+\frac{1}{246}+\frac{1}{328}$$
という計算。
24 と 246 と 328 の最小公倍数を簡単に出せれば計算は簡単だが、小学生の最小公倍数の求め方は上記の通りなので、こういう数字になると簡単ではない。
もちろん、
328 × 2 = 656 これは 24 でも 246 でも割り切れない。
328 × 3 = 984 これは 24 でも 246 でも割り切れる。
という風に探っていくことはできる。
しかし、ケタの多い計算が多くなり、しかも、いつ答えが出るか見通しが立たないため、間違いが多くなってしまいがちだ。
見通しが立たないけど試し続ける、というのは骨が折れることだろう。
中学校で学ぶ最小公倍数の求め方は、
2 ) 24 246 328
2 ) 12 123 164
2 ) 6 123 82
3 ) 3 123 41
41 ) 1 41 41
1 1 1
2 × 2 × 2 × 3 × 41 × 1 × 1 × 1 = 984
というやり方。
どの数も割り切れる数で一番小さい数(上の例だと 2 )で割ってその商を下に書く。
これを続ける。
全ての数が割り切れる数がなくなっても、
できるだけ多く割り切れる数(上の例だと、2、2、3、 41 )で割り、
下に商を書き、
割り切れない数(上の例だと、123、123、41 )はそのまま下に下ろす。
これを割り切れる数がなくなるまで繰り返し、
一番左の縦の列の割った数(上の例だと 2、2、2、3、41 )と
一番下の横一列の数(上の例だと 1、1、1 )を
全て掛け合わせる(2 × 2 × 2 × 3 × 41 × 1 × 1 × 1 )。
しかし、小学生にこの公式をただ覚えろと教えて良いものかどうか迷う。
あまり、意味もわからず、「ただ覚えてりゃ答えが出るんだよ」という感じにはしたくない。
出来れば、答えを出すのに時間がかかっても、もう少し数の性質を感じながら出していける教え方をしたい。
しばらく唸る…。
で、考えた教え方が下のようなもの。
煮え切らない部分はあるが…。
——————————————————————–
まず、簡単なもので説明してみる。
【問題】
4、6、9 の最小公倍数を求めよ。
【解説】
まず、それぞれの数を、これ以上割ることの出来ない出来るだけ小さい約数のかけ算で表してみよう。
4 = 2 × 2
6 = 2 × 3
9 = 3 × 3
まず 4 と 6 だけ見てみよう。
4 = 2 × 2
6 = 2 × 3
赤い字の2は共通する部分だよね。両方とも2の倍数、偶数なんだもんね。
でも、4 の方の ×2、6 の方の ×3、の部分は共通していないね。
この部分が違うってことが 4 と 6 の数字の違いなんだね。
じゃあ、4 と 6 を同じ数になるように何倍かするにはどうしたらいいかな。
4 は、2 × 2 × 3
6 は、2 × 3 × 2
両方とも 12 になるね。
こうすれば最小公倍数が出るんだね。
この、× 3 とか × 2 とかいうのは、
4 の方にはなくて 6 の方にあった × 3
6の方にはなくて 4 の方にあった × 2
だね。
お互いの数を作っているパーツで、お互いになかったものを追加すればいいんだね。
6と9でもやってみようか。
6 = 2 × 3
9 = 3 × 3
で、お互いに共通していない数をかけると
6 は、2 × 3 × 3
9 は、3 × 3 × 2
両方とも 18 になるね。
やっぱり、お互いに共通していない数をかければ最小公倍数になる。
じゃあ、3つの数だとどうだろう。
4 = 2 × 2
6 = 2 × 3
9 = 3 × 3
わさとずらして書いたよ。
共通していないのがどこかわかるようにね。そこに下線も引いておいた。
共通していないところを埋めると
2 × 2 × 3 × 3 だね。
計算すると 36 になる。これが最小公倍数だね。
お互いに数字を作っている一番小さいパーツに分けてみると、お互いを共通させるのに足りないパーツがわかるんだね。
◇ ◇ ◇
難しい数字でも試してみる。
【問題】
24、246、328 の最小公倍数を求めよ。
【解説】
それぞれの数をこれ以上割ることの出来ない出来るだけ小さい数のかけ算で表してみよう。
24 = 2 × 2 × 2 × 3
246 = 2 ×3 ×41
328 = 2 × 2 × 2 ×41
上の式はまたわざとずらして書いたよ、お互いに足りないパーツが何かわかるようにね。
じゃあ、足りないパーツを書き加えて、全部同じになるようにしてみよう。
すると、
2 × 2 × 2 × 3 × 41 になるね。
計算すると984。
これが最小公倍数だね。
——————————————————————–
さて、結論から言うと、この教え方は子供には好評だった。
途中から、「うんうん」「うんうん」と嬉しそうにうなづく。
少し、「発見した」という感じの反応でもある。
他の問題をやらせても、最小公倍数を比較的簡単に出せるようになった。
見返してみれば、中学校で学ぶ最小公倍数の求め方を分解して説明したような内容になっている。
それを意識した訳ではないが、そうなるのは当然と言えば当然なのだろう。
赤い字の2は共通する部分だよね。偶数だからの2の倍数なんだもんね。
でも、4 の方の ×2、6 の方の ×3、の部分は共通していないね。
この部分が違うってことが 4 と 6 の数字の違いなんだね。
というところとか、
お互いに数字を作っている一番小さいパーツに分けてみると、お互いを共通させるのに足りないパーツがわかるんだね。
というところは、ちょっとわかったような、わからないような説明になってしまっている。
しかしこれ以上うまく説明できない…。
ただ、寝る前にぐだぐだしながら会話をしていると、
——
数というのは、これ以上小さくできないパーツが組み合わさってできているプラモデルで、
どんなパーツがいくつずつくっついているかで違うプラモデルになる。
だから、違うプラモデルを、一番少ないパーツを足して全部同じプラモデルにしようとすると、
一度バラバラにしてそれぞれどんなパーツでできているかを調べて、
共通しているパーツと共通していないパーツを見つけて、
共通していないパーツをそれをそれぞれに補ってやれば、
全部同じプラモデルになるんだ。
——
みたいな話になっていった。
そもそも、あまり熱心に数学を勉強しなかった私としては、最小公倍数の求め方の意味なんぞ、今まで考えたことがなかったから、よくわからない説明になってしまった。
でも、何となく「数の正体」みたいな話になって、子供も私もちょっと面白がることができた。
子供は、「今日は新しい考え方が身についたぜ!」とVサイン状態で、最小公倍数を出しまくっている。
うむ。
まあ、通分が難しくてイヤになりかかっていた分数の計算を楽しそうにやっているんだから、
良しとするか。
こりゃ秀逸な教え方ですなあ。
素晴らしい!
長らくブログを放置してしていました。すみません。
もう読まれていないとは思いますが…コメントありがとうございます。
最小公倍数の求め方とても分かりやすく為に成りました。
長らくブログを放置してしていました。すみません。
もう読まれていないとは思いますが…コメントありがとうございます。
小学生の娘に中学以降の最小公倍数の求め方をどうやって教えるか、検索でたどり着きました!
自分がもやっとしていたこともスッキリしました。
ありがとうございました。
つたない内容ですが何か参考になったなら嬉しいです。
ありがとうございます。
わかったー! ありがとー!
それはよかった!