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比の計算の問題で気になったことがあったのでメモ。
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【例題】
x の値を求めなさい。
2 : 5 = x : 20
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目次
1. いきなり「内項の積と外項の積は等しい」と言われてもしっくりこない。
この問題、ドリルなどには、「内項の積と外項の積が等しいことを利用して解く」 というように書かれている。
内項の積、例題でいうと、「5 × x」 と、外項の積、例題でいうと、「2 × 20」 が等しいことを利用する、
つまり、
5 × x = 2 × 20
x = 2 × 20 ÷ 5
x = 8
ということだ。
子供のドリルには、一連の問題の前に、 「内項の積と外項の積が等しいことを利用して解きましょう」という感じで例題が載っているので、子供もそれに従ってドリルをやる。
出題には、比の項が分数になっている問題などもあるが、全問正解。
しかし、子供が変な顔をしているので聞いてみると、「なんとなく自信がない」のだそうだ。
話してみると、
「内側の積と外側の積が等しい、と言われてもピンとこない。だいたいなんで等しいのかもわからない。」
とのこと。
そりゃそうだよなあ…。
それに、この「内側の積と外側の積が等しい」ということは学校では習っていないそうだ。
教科書を見てみると確かに載っていない。
2. 「内項の積と外項の積は等しい」ことを利用しないで解く。
(1) 左項どうし、右項どうしを比較して解く。
じゃあ、この内側の積と外側の積が等しい、ということ無しに問題を解くことはできるかと聞いてみたら、その方が簡単だという。
子供のやり方は以下の通り。
まず、2 : 5 と x : 20 で、20 が 5 の何倍なのかを計算する。
すると4倍なので、2 × 4 をして答えは8。
式に書かせると、
x = 2 × (20 ÷ 5)
※ かっこは子供の頭の中でひとまとまりになっている部分
うん、問題ない、と思う。比の意味はわかっている。
念のため、 2 : 5 = 8 :x の場合はどうするか聞くと
x = 5 × (8 ÷ 2)
うん、問題ない。
意味がわかっている上で答えも出るんだから、これで何の支障もないどころか、こっちの方が良いとも言える。
(2) 比の値を利用して解く。
ついでに、
$$2 : 5 = x : 20 で$$
$$2は5の\frac{2}{5}倍だから$$
$$xは 20 × \frac{2}{5}$$
$$という考え方もできる$$
ということを説明すると、それもわかっているという。
これは、「比の値」の考え方。「比の値」自体は教科書に載っているが、比の計算には使われていない。
(3) 比が割合であり、分数にも置き換えられることがわかっていれば良いか。
これら一連の解き方がわかっていれば、
「比は割合でもあり、分数に置き換えることもできる」
ということがわかっているのではないか、と思う。
自信はないが、とりあえずこの程度の理解があれば良いのかなあ。
3. なぜ、内項の積と外項の積は等しいのか。
ただ、教科書以外のあらゆる場所に、比の計算は内項の積と外項の積は等しいということを利用して解く、と書いてあるので気になる。また、この解き方、完全に機械的に当てはめれば答えが出るので便利な面はあるので、「この解き方も覚えておこうな」とは伝えた。
しかし、子供が「なぜそうなるのか?」と疑問を持った以上、解決は必要だろう。説明をしてみた。わかりやすいかどうかは自信がない…。
2 :5 = 8 : 20 で説明する。
$$2 : 5 の 「比の値」$$
$$つまり、2 は 5 の何倍なのかを表すと$$
$$\frac{2}{5}$$
$$8 : 20 の 「比の値」$$
$$つまり、8 は 20 の何倍なのかを表すと$$
$$\frac{8}{20}$$
$$つまり、\frac{2}{5} = \frac{8}{20} だね。$$
$$これを分母を揃えてみよう。$$
$$ただ、最小公倍数を探さないで$$
$$お互いの分母をかけてみよう。$$
$$すると、\frac{2 × 20}{5 × 20} = \frac{8 × 5}{20 × 5}$$
$$これで分母はそろったね。$$
$$で分子の部分をみると$$
$$2 × 20 と 8 × 5 となってる。 $$
$$分母が等しいから分子だけ比べてみると$$
$$2 × 20 = 8 × 5 ということがわかる。$$
$$当たり前だよね。$$
$$この式を見てみると$$
$$2 × 20 はさっきの比の計算式の外項の積だ。$$
$$で、8× 5 は内項の積だ。$$
$$これで、内項の積と外項の積は等しい$$
$$ということがわかったわけだ。$$
本当は最初、a : b = c : d で説明したのだけど、今一つ反応がわるかったので、実数で説明したのだが、 子供の反応は、
「うん、そういう計算なんだということはわかった。」
そうか…。しっくりはこないようだね。
$$ちなみに、a : b = c : d で説明するとしたら、$$
$$\frac{a}{b} = \frac{c}{d}$$
$$\frac{a × d}{b × d} = \frac{c × b}{d × b}$$
$$よって、a × d = c × b$$
$$となる。$$
4. 結局は同じ計算をしているということがわかれば…。
$$2 : 5 = x : 20 の問題で、$$
$$子供の当初の解き方は、$$
$$x = 2 × (20 ÷ 5)$$
$$比の値を利用すると$$
$$x = 20 × \frac{2}{5}$$
$$内項の積 = 外項の積 を利用すると$$
$$x = (20 × 2) ÷ 5$$
ということになる。
子供にこれらを見比べさせてみると、「あっ、どれも同じ計算じゃん!」となった。
今回はこれくらいで良いかなあ。
ここまでやってみて、
なぜ内項の積と外項の積 は等しいのか、の説明は、
$$a : b = c : d $$
$$たとえば、a はbの\frac{c}{d}倍なので$$
$$(あるいは、a:bの比の値は\frac{c}{d}なので)$$
$$a = b ×\frac{c}{d} $$
$$で、両辺に d をかけて$$
$$a × d = b × d$$
で良かったのかも知れない、と思ったのだが、今回は時間切れ。
何というか、比の問題は、結局同じことを説明しているものの、「どこから攻めるか」、「どこに注目して言うのか」というのが難しい。
いずれにせよ、子供が比について正当に理解しているようだと判断したので問題はなさそうだが、自分の能力の問題もあり、真剣に説明しようとすると結構悩んでしまう。
それにしても、答えが出ても、そのプロセスに納得感がないと子供は不安に感じる、ということは改めて痛感した。こういうのをスルーしていくと、算数・数学はつまらなくなると思う。
私のように中学・高校時代、数学に対する関心を失い、意味も良く考えず公式をあてはめたりパターンで解いたりするようにはなってほしくないなあ、と思っているので、出来る限り「納得感」を大事にしていきたいと思うが、どこまでやれるだろうか。自分が勉強し直せばよいとはわかっているのだがさすがにその余裕は…。
今まさにここでつまずいて悩んでいたところでしたがようやくスッキリしました;;大人になった今改めて考え調べたりしたもののなかなか納得できず困っていました。ありがとうございます^^
長らくブログを放置してしていました。すみません。
もう読まれていないとは思いますが…コメントありがとうございます。
「最少公倍数」は「最小公倍数」の誤変換ですね。
レス遅くてすみません。直しておきました。ご指摘ありがとうございます。